ようこそ!あかちゃん

こうのとりが
みゆちゃんを
おとうさんの　よしざわ　ひでたかさん
おかあさんの　さゆりさんに
とどけるために
しばたしに　むかって
とんで　いました。
「みゆちゃんが　うまれる
２０１０ねん１がつ１３にち
ごぜん３じ１８ふんまでには
まだ　だいぶ　じかんも　あるなあ。
ちょっと　ひとやすみして　いくかな。」
こうのとりは　ずっと　とびつづけて　いたので
つかれて　いたのです。

こうのとりは　きれいな　おはなばたけに
まいおりました。
「きもちのいい　おはなばたけだ。」
こうのとりが　そういって　やすんでいる　あいだに
みゆちゃんは　はいはいして
おはなばたけの　さんぽに　でかけました。

みゆちゃんが　おはなばたけに
はいって　いくと　そこに　きれいな
ようせいの　おうじょさまが　あらわれました。
「ここからは　ようせいの　くにですよ。
ようせいで　ないと　はいれませんよ。」
みゆちゃんは
なんの　ことだか　わかりません。
すると　ようせいの　おうじょさまは
「みゆちゃんを
ようせいに　して　あげましょう。」
と　いって　つえを　ふりました。

すると　みゆちゃんの　せなかに
かわいらしい　はねが　はえました。
はねが　はえると
そこに　ちいさな　はなの　ようせいが　あらわれました。
「わたしが　ようせいの　くにを　あんないします。」
みゆちゃんは
はなの　ようせいの　あとに　ついて
おはなばたけの　うえを　とんで　いきました。

「ようせいの　くにの　おともだちに
しょうかいして　あげましょう。」
はなの　ようせいは　みゆちゃんを
みんなの　ところに　つれて　いきました。
「みなさーん　あたらしい　ようせいの
みゆちゃんですよー。」
おはなに　たくさん　ちいさな　ようせいたちが
あつまって　きました。
あたらしい　おともだちが　できて
みんな　うれしそうです。
「みゆちゃんの
かんげいかいを　しましょう。」
みんなが　いいました。

ちいさな　ようせいたちは
みゆちゃんの　ために
ジュースを　つくろうと
たくさん　くだものを　もって　やって　きました。
みゆちゃんの　ための　ごちそうです。
「どうして　みんな　はじめて　あったのに
こんなに　しんせつに　して　くれるの？」
「だって　みゆちゃんの
よろこぶ　かおが　みたいんだもの。」
ちいさな　ようせいたちが　こたえました。
みゆちゃんは　うれしくて
ジュースを　いっぱい　のんで　しまいました。

「それでは　こんどは　みんなで
かくれんぼを　しましょう。
わたしが　おにに　なるから
みんな　かくれて　いいですよ。」
と　はなの　ようせいが　いいました。

それを　きくと　みんなは　あっと　いうまに
おはなの　かげに　かくれました。
みゆちゃんも　いそいで
おはなの　かげに　かくれました。
でも　みんな　すぐに
はなの　ようせいに　みつかって　しまいました。

「こんどは　おにごっこを　しましょう。」
はなの　ようせいが　いうと
「こんどは　みゆちゃんが
おにに　なる。」
と　みゆちゃんが　いいました。
「えっ　みゆちゃんが？」
みんなは　おどろきました。
「どうして　おになんかに　なるの？」
と　みんなは　みゆちゃんに
たずねました。
「だって　みんなの　よろこぶ　かおが　みたいんだもの。」
と　みゆちゃんは　こたえました。

みんなは　みゆちゃんが
こころの　やさしい　こだと　おもいました。
それで　ようせいの　おうじょさまが
みゆちゃんを　ようせいに
したんだと　おもいました。

ちいさな　ようせいたち　みんなは
そら　たかく　のぼりました。
とりさんが　やって　きて
びっくりぎょうてんしていました。
みゆちゃんは　たのしくて　たのしくて
いつまでも　とびまわって　いました。

あまり　とびまわって　いたので
みんな　つかれて　しまいました。
ちいさま　ようせいたちは
おはなの　うえに　まいおりて
おはなの　つぼみの　なかで　おひるねを　しました。
みゆちゃんの　まわりに　みんな　よりそって
しあわせそうに　ねて　しまいました。

しばらく　ねて　いると
どこからか　かすかな　こえが　きこえて　きました。
「みゆちゃん。」
「あっ　こうのとりの　こえだ。」
みんなも
「きこえる　きこえる。」
と　いいました。
みゆちゃんが　みあたらないので
こうのとりが　しんぱいして　さがして　いるのです。
「もう　いかなくては。」
みゆちゃんは　いいました。

「また　あそびに　きても　いい？」
みゆちゃんが　たずねました。
「でも　にんげんに　なったら
ようせいで　なくなっちゃうから
わたしたちの　ことなんて　きっと　わすれちゃうよ。」
ちいさな　ようせいたちが　いいました。
「ぜったいに　わすれない！」
みゆちゃんは　おおきな　こえで　いいました。
「さようなら　また　くるね。」

みゆちゃんは
こうのとりの　こえの　する　ほうへ
ようせいの　くにの　おはなばたけから
でて　いきました。
すると　みゆちゃんの
せなかの　はねが　きえました。
「さようなら　また　あそびに　きてね。」
ちいさな　ようせいたちは
みゆちゃんに　てを　ふりました。

みゆちゃんが　いって　しまうと
ちいさな　ようせいたちは
「みゆちゃんは
わたしたちの　ことなんか
すぐに　わすれちゃうよ。
もう　ようせいじゃあ　ないんだから。」
「そうだよね。はねが　ないんだものね。」
と　かなしそうに　いいました。

すると　そこに　また
ようせいの　おうじょさまが　あらわれました。
そして　いいました。
「だいじょうぶ。みゆちゃんは
こころが　ようせいに　なりましたからね。
はねなんか　なくても　いつまでも
みんなの　ことを　わすれませんよ。」
ちいさな　ようせいたちは　あんしんしました。
「そうだよ。みゆちゃんは
ようせいの　こころを　もった
ステキな　にんげんに　なるよ。」
「そうすれば　きっと　また　あそびに　きて　くれるよ。」

みゆちゃん
ようせいの　こころ　わすれないでね！